キノコのスギヒラタケを食べた腎障害の患者に04年秋、急性脳症が多発した問題で、このキノコの抽出物をラットに投与したところ、腎機能が正常でも運動量が大幅に低下することが、高崎健康福祉大(群馬県高崎市)の江口文陽教授(キノコ学)のチームの研究で分かった。厚生労働省は同年以降、食用を控えるよう呼び掛けており、江口教授も「腎機能に問題がなくても食べないで」と強調している。【江口一】
研究成果は17日から宮崎市で開かれる日本木材学会で発表する。
江口教授らは07〜09年に新潟、群馬両県で採取したスギヒラタケの抽出物を用い、腎機能が正常なラットや重症の腎障害ラットに1000ミリグラム投与して3時間観察し、生理食塩水を投与した場合と比べ、運動量を調べた。
スギヒラタケの投与では、腎障害ラットは直後から運動量が低下し、約100分を過ぎるとほとんど動かなくなった。正常なラットは最後まで運動を続けたが、それでも生理食塩水を投与したラットに比べ運動量は約3分の2にとどまった。
また、スギヒラタケの抽出物を軽症、中症、重症の腎障害のラットに投与して筋肉の状態などを調べたところ、重症のラットでは筋肉の細胞が大きく破壊されていることも判明した。
江口教授は「筋肉の炎症を起こす強い毒性を持っていることは明らかだ」と指摘する。
スギヒラタケを食べた人の急性脳症は、04年秋に新潟・山形両県などで初めて報告された。厚労省の調べでは、同年だけで少なくとも59人が発症し、17人が死亡したが、05年以降は激減した。
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