□「ブランジュリ タケウチ」 竹内久典さん
■バトン、サイコロ、まん丸…「どこにもないパン」で驚かせたい。
−−パンの形、ちょっとユニークなものが多いですよね。思わず握り締めたくなるような、運動会のバトンみたいな形だったり、3、4センチの正方形で長さ30センチのレーズンパンだとか、さいころみたいなパンとか。変わってますよね。お客さん、びっくりしませんか
竹内 ええ、バトンやレーズンパンは、最初、「これ、どうやって食べるの?」とずいぶん聞かれました。
−−そうでしょう。まさか節分の巻きずしみたいにまるかじりするわけにもいかないし(笑)
竹内 バトンは、クルミを練りこんだロールパンのようなもので、フランスで型を見つけました。こちらを最初に販売したのですが、その隣に、四角くて細長いパンがあればおもしろいだろうな、と思いついて、3種レーズン入りのパンを考えました。型は特注です。サイコロみたいなパンは「アールグレーのクリームパン」のことなんですけど、これはフランスの「マルセイユせっけん」から思いついたんです。
−−せっけん?
竹内 雑貨屋さんで真四角のマルセイユせっけんが積んであるのをみて、「パンにしたらおもしろいだろうなあ」と思ったんです。食パンみたいに大きなものじゃなくて、一口で食べられるもの。思いついたときにすぐ、手元にあった雑誌の表紙を切り抜いて、自分で小さなキューブを作ったんですよ。口に入れてみようとしたらちょっと大きかったので、小さくしていって、6センチ角の形に落ち着いたのですが、なかなか型を作ってくれるところがなくて。
−−そりゃそうですよね。他のパン屋さんではちょっと見かけませんし
竹内 やっと1軒みつかって。でもそれで焼いてもただの小さな食パンなのでつまらない。もっと驚かせたいなと思って、クリームパンにしようと。もっと面白く、と思って、紅茶でクリームを炊きました。
−−形にびっくり、中からはクリーム、おまけに紅茶の香り、とびっくり3連発
竹内 できたときはほんとにうれしくて。「どうやっ」、という気分で並べました。お客さんが「えー、これクリームパン?」と驚いている声が聞こえてきたとき、本当にうれしかった。
−−いろんな形のパンを作り出す、ということは、特注の型を相当たくさんお持ちなんでしょうか
竹内 倉庫に山のようにありますよ。
−−いくつぐらい?
竹内 うーんと、たぶん、50じゃきかないですね。
−−特注だから、高いですよね
竹内 高いです。でも、中には1回も使ってないものもいっぱいあります。試作してみたら、イメージとちがったり。
−−型マニアの竹内さんの要求に応えてくれる型屋さんは、何軒かあるんですか
竹内 今は東京と大阪に2軒あります。でも型屋さんではできないこともあるんです。球のような、まん丸のパンを作ろうとしたときは、尊敬している鉄工所の方に頼みました。
−−型との出合いは、パン作りには重要ですか
竹内 ぼくは、どこにもない形のパンを作りたい、と思っています。形だけじゃないなあ。ぼくは店をもったときから、ずっと、「どこにもないパンを作りたい」と思い続けているんです。(聞き手 岸本佳子)
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